物性基礎工学研究グループ (田仲・川口研)
 

単原子層物質


単原子層物質とは原子が1層からなる物質系のことで、「グラフェン」が実現してからグラフェンを超えるような物質を実現するため、 理論・実験の両面で爆発的に研究が進められている。代表する物質としてはグラフェン、MoS2、BN(boron nitride)などがある。 初の単原子層物質である「グラフェン」は2004年に合成され[1]、2010年にノーベル物理学賞の対象となった。 炭素がハニカム格子を組んだ極めて純度の高い2次元物質で、ゼロギャップ半導体となる特異な電子構造を持ち、 ディラクフェルミオンの存在が確認されており、高い移動度持つことから機能デバイスとして期待されている。


図:単原子層物質でみられるディラック電子系のエネルギー分散(左)と直接遷移半導体のエネルギー分散(右).

グラフェンはトポロジカル絶縁体の候補としてもあげられているが、スピン軌道相互作用が小さいためにギャップをあけられず、 実験的に可能な温度で量子スピンホール効果を測定することができないという欠点がある。 そこで、注目を浴びているのが、グラフェンのシリコン・ゲルマニウム・スズの類似物質となる「シリセン」、「ゲルマネン」、「スタネン」である。 これらの物質は完全に2次元的なsp2混成軌道ではなくsp3に近い低バックル構造を持つためグラフェンにはない新しい物性を示し、 比較的大きなスピン軌道相互作用を持つことから電場や磁場でエネルギーギャップを自在に制御できるとして2次元トポロジカル絶縁体の候補として挙げられている。


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